食べる・つくる
たんぱく質としてのコラーゲン:食事のなかでの位置づけ
ゼラチンは料理を固める材料であると同時に、成分の多くをたんぱく質が占める食品です。ただし、たんぱく質が多いことと、必要なアミノ酸がどのような比率で含まれるかは、別の話です。ここでは、コラーゲンやゼラチンを食事のなかで見るときの、言葉と資料の読み方を説明します。
たんぱく質は、体をつくるだけではありません
健康長寿ネットは、たんぱく質を、アミノ酸が多数つながった高分子化合物として説明しています。筋肉や臓器などを構成するほか、酵素やホルモン、物質を運ぶたんぱく質など、形や働きはさまざまです。同じたんぱく質という分類に入っていても、どれも同じ仕事をするわけではありません。
アミノ酸の種類や組み合わせ、量の違いが、たんぱく質の形や働きの違いに関わります。コラーゲンは、組織を支える構造たんぱく質として知られています。食品の成分としてたんぱく質を測る場合には、体内での役割とは別に、含まれる量やアミノ酸の構成を見ます。
健康長寿ネットの摂取基準の説明では、年齢や性別などの区分ごとに、推定平均必要量、推奨量、目安量、目標量が示されています。表の区分や指標を離れて、誰にでも共通する量と読むことはできません。ここでは、個人に向けた摂取量や、特定の食品を食べる量の指定は行いません。
必須アミノ酸は、体内で十分につくれないアミノ酸です
必須アミノ酸とは、その動物が体内で十分な量を合成できず、栄養として取り入れる必要があるアミノ酸です。「必須」という言葉は、体内での合成量に関係しています。必須ではないアミノ酸が、たんぱく質に不要という意味ではありません。
健康長寿ネットは、トリプトファン、リジン、メチオニンなどを必須アミノ酸に、グリシンやプロリンなどを体内で合成できる非必須アミノ酸に挙げています。それぞれがどの分類に入るかと、ある食品にどれだけ含まれるかは区別できます。食品の名前だけで、構成アミノ酸の比率までは分かりません。
必須アミノ酸の種類は、動物の種類によって異なります。これは、何を合成できるかという生物学的な違いによるものです。人の食事の資料を読むときには、人における分類を見ていることになります。
アミノ酸スコアが示すもの
アミノ酸スコアは、食品のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の比率を、基準となるパターンと比べて評価する数値です。基準に対する比率が最も低いアミノ酸を、第一制限アミノ酸と呼び、その値が評価を決めます。たんぱく質全体の重量だけを測った指標ではありません。
このスコアは、食品に含まれるたんぱく質そのものの多さを表しません。たんぱく質の含有量が少ない食品でも、比率に基づくスコアが高い場合があります。量と比率を別々の指標で示しているためです。成分表のたんぱく質量に、アミノ酸の構成という視点を重ねることができます。
アミノ酸スコアは、食品単体の評価であり、食品の組み合わせによって不足するアミノ酸を補い合う関係もあります。同じ資料には、穀物と豆を組み合わせる例が挙げられています。これは特定の献立を指定する話ではなく、単一の食品の値と食事全体の構成が、同じ評価ではないことを示します。
ゼラチンが、たんぱく質をすべて代表しない理由
ゼラチンには、グリシンやプロリンが多く含まれる一方、必須アミノ酸のトリプトファンは含まれていません。英語版Wikipediaも、トリプトファンを欠き、ほかの必須アミノ酸にも少ないものがあるため、栄養学的に完全なたんぱく質ではないと説明しています。たんぱく質を多く含むことだけで、必須アミノ酸のすべてがそろうとはいえません。
ゼラチンのアミノ酸組成は、グリシンとプロリンが多い、偏りのある構成です。加水分解したコラーゲンも、もとのコラーゲンと同じアミノ酸の組成を持ちます。鎖が短くなったという加工上の違いと、構成するアミノ酸の種類や比率は、同じ情報ではありません。
粉、板、顆粒という形の違いや、さらに分解したペプチドという呼び方は、コラーゲン・ゼラチン・コラーゲンペプチドのちがいで整理しています。材料の状態を説明する言葉を、栄養の評価と結びつけすぎずに読めます。
食品成分データベースにあるゼラチンの数値
文部科学省の食品成分データベースの「ぶた/ゼラチン」では、たんぱく質の欄が87.6 g、アミノ酸組成によるたんぱく質の欄が86.0 gと記載されています。同じたんぱく質に関する数値でも、項目名が異なります。数値だけを抜き出すのではなく、どの食品の、どの成分欄の値かを一緒に見ます。
同じ項目の水分は11.3 g、脂質は0.3 gと記載されています。一方、ゼラチンのゼリーは、鎖がつくる網目に水を含ませたものです。乾燥した材料と、水や牛乳などを加えた料理では、見ている食品の状態が違います。
健康長寿ネットは、食品成分の数値が、調理法や食品の水分の出入りによって変わると説明しています。したがって、ゼラチンという原料の項目と、できあがった料理の成分を同一視できません。料理の材料としてどこに使うかは、台所でのゼラチンの扱い方につながります。
ビタミンCは、体内の合成過程に関わります
健康長寿ネットは、ビタミンCを、骨や腱などのコラーゲンの生成に必要な化合物として説明しています。ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれる水溶性のビタミンです。ゼラチンに含まれるたんぱく質と、体内でコラーゲンを組み立てる反応は、同じものを指していません。
コラーゲンの合成では、鎖ができた後にプロリンやリジンが水酸化され、その反応にビタミンCが必要です。栄養素の名前が同じ文章に登場する理由は、この生化学的な過程にあります。食品を一緒に食べる方法や、個人の体に起こる変化を示す説明ではありません。
この合成の流れは、体のなかでのコラーゲンのつくられ方と入れ替わりで扱います。消化でたんぱく質が分解されることと、細胞が新たなたんぱく質をつくることを、続けて読める構成です。
食物アレルギー表示におけるゼラチン
ゼラチンは、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」に含まれます。消費者庁は、食物アレルギーについての説明と、加工食品の表示制度に関する資料を公開しています。制度上の分類と、個人に症状が起こるかどうかは、同じ問いではありません。
消費者庁の説明では、食物アレルギーは、食物に含まれるたんぱく質などを体が異物として認識し、不利益な症状を起こすことです。このページでは、表示におけるゼラチンの位置づけだけを扱います。個人の体調や食物アレルギーについては、医師などの専門家にご相談ください。
表示制度に関する基本的な疑問は、コラーゲンとゼラチンのよくある質問にもまとめています。