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コラーゲンとは:体の形を支えるたんぱく質

コラーゲンは、動物の体を形づくる構造たんぱく質です。皮膚や腱だけでなく、骨や軟骨にも含まれます。細胞の外に広がる材料のなかで、組織を支える役割を担っています。食品の名前としても見かけますが、生物学では、まず体内の組織を成り立たせる分子として扱います。
細胞の外にも、組織を支える材料があります
体の組織は、細胞だけが隙間なく詰まってできているわけではありません。結合組織には、細胞と、その周囲を満たす細胞外マトリックスがあります。コラーゲンの線維は、この細胞外マトリックスを構成する材料です。結合組織の種類によって、線維や水分を含む基質の割合が変わります。
細胞外マトリックスには、線維状のたんぱく質、多糖類、無機質などが含まれます。骨ではコラーゲンの線維と骨の無機質が組み合わさり、血液では血しょうが細胞外の環境をつくります。同じ言葉で呼ばれていても、すべての組織で材料や状態が同じという意味ではありません。
コラーゲンは、引っ張る力に強い膠原線維をつくります。一方、細胞の間を満たす基質には、水を含むゼリー状の成分もあります。線維が力を受け持つことと、周囲の材料が水を抱え込むことが組み合わさり、組織ごとの性質になります。コラーゲンだけを取り出した説明と、組織全体の説明は区別できます。
アミノ酸の配列から、三重らせんへ
たんぱく質は、アミノ酸がつながった鎖をもとにしています。コラーゲンの鎖では、グリシンが3残基ごとに現れる配列が特徴です。これを「グリシン-X-Y」と表し、XとYはほかのアミノ酸が入る位置を示します。文字が同じ間隔で並ぶことに、分子の形をつくる意味があります。
グリシンは、側鎖が水素である小さなアミノ酸です。らせんの中心は狭いため、グリシンの小ささが鎖を寄せるうえで重要です。アミノ酸の種類だけでなく、それが鎖のどの位置に並ぶかも、コラーゲンの構造に関わっています。
XやYの位置には、プロリンやヒドロキシプロリンがよく現れます。プロリンは、分子内に環状の構造を持ち、ペプチド鎖の形に関わるアミノ酸です。ヒドロキシプロリンは、たんぱく質が合成された後に、プロリンが酵素によって修飾されてできる成分です。
コラーゲンでは、左巻きの鎖が3本集まり、全体として右巻きの三重らせんをつくります。ひもを束ねた姿が理解の手がかりになりますが、分子ではアミノ酸の配置や鎖の間の相互作用が、その形を支えています。ヒドロキシプロリンは、配列のなかの位置や立体配置によって、らせんの安定性への関わり方が変わります。
2009年の総説は、三重らせんの構造と安定性、さらにコラーゲン線維の力学的な性質を扱っています。分子の形を説明することと、それが集まった線維の性質を説明することは、観察する大きさの違う話です。コラーゲンを知るには、鎖、分子、線維、組織という段階を分けると関係を追いやすくなります。
分子が集まると、線維になります
線維性のコラーゲン分子は、少しずつずれて集まり、コラーゲン原線維をつくります。原線維がさらに集まると、結合組織のなかで大きな線維束になります。顕微鏡で見える線維と、アミノ酸からなる分子は同じ大きさではなく、集まり方の段階が異なります。
腱では線維がほぼ平行に並び、皮膚では波打つ線維が網のように広がります。同じコラーゲンを含んでいても、並び方や水分の状態、観察する大きさによって力学的な性質は変わります。成分名が共通していることだけで、腱と皮膚が同じ性質を持つとはいえません。
コラーゲンには、型ごとの違いがあります
コラーゲンは、単独の分子の名前だけではなく、関連するたんぱく質の一群を指します。2011年の総説は、三重らせんを含む領域を持つ28のメンバーを扱っています。型の分類は、構造や組織での分布を見分けるためのものです。
Ⅰ型は真皮、腱、骨などに多く、Ⅱ型は軟骨の主なコラーゲンです。Ⅲ型は細かな網目状の線維をつくり、Ⅰ型と共存することが多くあります。Ⅳ型は基底膜で網目状の構造をつくります。基底膜は上皮組織を裏から支える部分です。すべての型が、同じ太い線維になるわけではありません。
Ⅴ型は、皮膚では毛包や汗腺の周囲などにあり、胎盤にも含まれます。型ごとの分布を知ることは、皮膚という同じ組織のなかにも、場所による違いがあることを理解する手がかりになります。
非線維性のコラーゲンには、コラーゲン線維の表面に結合するものや、細胞膜に結合して存在するものもあります。太い線維そのものになる場合だけでなく、線維の周囲や細胞との境界に位置する場合もあるため、型を分けて説明します。
皮膚・骨・軟骨・腱での居場所
真皮は、表皮と皮下組織の間にある、線維性の結合組織からなる層です。コラーゲンのほか、弾性線維なども含まれます。皮膚の表面だけを指しているのではなく、その下で構造を支える層を見ています。
骨は、無機物と、コラーゲンを主成分とする有機物を含みます。骨の硬さを考えるとき、無機質だけを見て終わりにはできません。骨ではコラーゲンとリン酸カルシウムが関わり、形や強度を保っています。
軟骨は、軟骨細胞と、それを囲む豊富な基質からなる結合組織です。基質には水分を引きつけるプロテオグリカンが含まれ、軟骨のコラーゲン線維とともに組織を成り立たせています。硬い骨と弾力を持つ軟骨では、周囲の成分の組み合わせが違います。
腱は、筋肉と骨をつなぐ、コラーゲンを主成分とする強い線維性の組織です。筋肉が生み出した引っ張る力を伝えます。コラーゲンが体の形を支えるという説明には、このように力を伝達する働きも含まれています。
エラスチンとの違いと、つくり手の細胞
エラスチンは、弾性線維を構成するたんぱく質です。皮膚では、コラーゲンが引っ張りに対する強さを担い、エラスチンが伸びて戻る性質に関わります。両者は同じ物質の別名ではありません。細胞外の材料がそれぞれの性質を受け持っています。
コラーゲンのつくり手の代表が、線維芽細胞です。線維芽細胞は、コラーゲンを含む細胞外マトリックスの成分を合成し、細胞の外へ送り出します。組織の足場は、外からそのまま運び込まれる完成品ではなく、細胞の活動と結びついています。
活発な線維芽細胞では、粗面小胞体という細胞内の構造が豊富にあり、活動の低い状態では細胞が小さく、粗面小胞体も少なくなります。線維芽細胞の姿は、存在する場所や活動の状態によって多様です。細胞の名前だけでなく、その状態も、組織を観察する際の情報になります。
鎖をつくり、修飾し、細胞の外で組み立てる過程は、体のなかでのコラーゲンのつくられ方で扱います。加熱した後の性質を知りたいときは、ゼラチンとのちがいへ進めます。鎖を表す言葉そのものは、ペプチドの説明につながります。
参考にした資料
- コラーゲン - Wikipedia
- Collagen - Wikipedia
- Extracellular matrix - Wikipedia
- 結合組織 - Wikipedia
- Collagen helix - Wikipedia
- Collagen structure and stability(2009年)
- グリシン - Wikipedia
- プロリン - Wikipedia
- ヒドロキシプロリン - Wikipedia
- The collagen family(2011年)
- 真皮 - Wikipedia
- 骨 - Wikipedia
- 軟骨 - Wikipedia
- 腱 - Wikipedia
- エラスチン - Wikipedia
- Fibroblast - Wikipedia