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コラーゲン広報室

シンポジウム

2014年9月9日 開催そうだったんだ!コラーゲン!!
~コラーゲンが効くメカニズム解明~

コラーゲンシンポジウム(大阪) 会場:梅田スカイビル タワーウエスト36階

消費者の皆様にコラーゲンペプチドが体に働きかける仕組みをお伝えするため、コラーゲンシンポジウムを開催し、80名様にご参加いただきました。その概要をレポートさせていただきます。

会場写真
写真:真野博
京都大学大学院 農学研究科 応用生物化学専攻 佐藤 健司 教授

1983年 京都大学農学部水産学科卒業
1985年 京都大学大学院農学研究科博士後期課程水産学専攻入学
1988年 農学博士の学位を取得
1989年 京都府立大学生活科学部助手
1995年 同助教授
1997年 京都府立大学人間環境学部助教授
2005年 同 教授
2008年 京都府立大学大学院 生命環境科学研究科教授
2014年 京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 海洋生物機能学分野教授
専門:食品科学、食品機能学

コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチド?

「コラーゲンシンポジウム」として開催していますが、実は、皆さんが摂取されているのは「コラーゲンペプチド」です。そのあたりが、世の中でごちゃ混ぜになって使われていますので、基礎的なところから説明したいと思います。

「コラーゲン」とは、細胞と細胞の間にある「タンパク質」。真皮、骨、腱などの主成分で、少量なら体内のどこにでもあります。結合組織ではコラーゲン以外の粘質多糖(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)などと存在しています。

コラーゲンは、3本のタンパク質による三重らせん構造を持つ棒状分子(コラーゲン分子)で、太さを1cmとすると、長さは2m(200cm)になる細長い構造です。その「コラーゲン分子」が集まって(会合して)「コラーゲン繊維」を形成します。さらに、そのコラーゲン繊維が集まって、もっと太く長い「コラーゲン線維」を形成します。コラーゲン繊維は直交することで、真皮、骨、腱、角膜などの結合組織を強靭にしています。

スライド写真

軟骨にもコラーゲンが存在していますが、その軟骨が消失していくことで関節が痛くなります。
軟骨のコラーゲンは、真皮、骨、腱などのⅠ型コラーゲンではなく、Ⅱ型コラーゲンです。コラーゲンには色々な型が存在し、繊維を形成するコラーゲンは次のようなものがあります。

  • Ⅰ型:太い繊維をつくる(軟骨以外の繊維)
  • Ⅱ型:軟骨の繊維の主成分
  • Ⅲ型:血管などの弾力のある組織に存在
  • Ⅴ型:細胞の周囲の微量コラーゲン
  • XI型:軟骨の微量成分

他の型は繊維を形成しないコラーゲンです。(形成する・しない全部で28型くらい存在)
食品として食べるのは、主にⅠ型、Ⅱ型(鶏軟骨など)になります。

コラーゲンは、骨や皮膚などを作りますが、実は細胞に対してかなり大きな効果を持っています。コラーゲンは細胞の足場になることがわかってきました。コラーゲンを合成する「線維芽細胞」はコラーゲン繊維に接着して存在します(接着しないと死んでしまいます)。そして、接着した線維芽細胞は、コラーゲン繊維を引っ張り、その引っ張る力で肌なのハリをつくります。

糖尿病の方で、肌が荒れたり、傷の治りが遅いのは、コラーゲンに糖がくっつくことで、線維芽細胞が接着できなくなり、離れて死んでしまうから引っ張れなくなって、コラーゲンがたるむ(肌のたるみ)からです。また、傷を受けた際、それを治す線維芽細胞がいなくなることで、ケガをした際には傷が治り難くなります。

つまり、紫外線などでコラーゲンが損傷すると、それ自体も問題ですが、コラーゲンに接着する線維芽細胞が離れて死んでしまうことになることも問題なのです。

体の中のコラーゲンは、タンパク質のアミノ酸が1000個結合したものが3本らせん構造になっているものです。ゼラチンは、それを熱変性させ、1本ずつバラバラにしたもので、1本がアミノ酸1000個結合していることは同じです。コラーゲンペプチドは、それを分解して、10個から50個くらいのアミノ酸が結合したものです。

ゼラチンはゼリーになり、水分を含みますので、大量に食べにくいため、それを酵素分解して、水に溶けてゼリー化しないコラーゲンペプチドが製造され、コラーゲンとして利用されています。コラーゲンペプチドの特長として、味がほとんどしません。ちょっと甘い味がする程度です。(ミルク由来など他のペプチドは、ものすごく苦いです)

  • コラーゲン=3重らせん構造、水に溶けない、繊維を形成、消化しにくい
  • ゼラチン=3重らせん構造が崩壊、水に溶ける、冷えるとゼリーになる、消化できる
  • コラーゲンペプチド=ゼラチンが分解したもの、水に溶ける、ゼリーにならない、消化できる

コラーゲンのアミノ酸は、グリシン(Gly)、プロリン(Pro)など、いろいろなアミノ酸で構成されていますが、その中のプロリン(Pro)は、水(水酸基OH)がついて、ヒドロキシプロリン(Hyp)となります。これは、ほぼコラーゲンにしか存在しないアミノ酸で、これがあるからコラーゲン繊維がしっかりします。

このように、コラーゲン特有のヒドロキシプロリンは、遺伝子情報で最初から合成されるのではなく、プロリンに水酸基がくっつくという反応によりつくられます。その反応を起こす酵素(プロリルヒドロキシナーゼ)の安定化に「ビタミンC」が必要です。ビタミンCが無いと、コラーゲンの生合成はうまくいかず、コラーゲン線維が崩壊し、死に至る壊血病になってしまいます。

コラーゲン分子の会合は、そのままでは弱いので、コラーゲン分子の間に「架橋」が入ることで繊維が強くなります。ところが、紫外線などの影響で過剰な架橋(老化架橋)が入ると、今度はコラーゲン繊維が分解できなくなって、肌の弾力を損ない、シワなどの原因になります。

講演写真

コラーゲンペプチドの効果

かなり以前から、肌や関節の状態が改善されるとのエピソードがありました。近年では、その体感性の高さからコラーゲン市場は拡大しています。国民レベルでは、コラーゲンが肌に良いのは合意事項になっています。かたや、アカデミアでは、今は変わってきましたが、「そんなことあるはずがない」、「プラセボ効果に決まっている」との批判が続いていました。

批判があったのは当然のことで、従来の栄養学では、タンパク質・ペプチドを食べると、胃、小腸で、アミノ酸と小さなペプチドに分解され、アミノ酸が2個、3個つながったペプチドの形で小腸が吸収することはあるが、血中に移行した時点でアミノ酸まで分解されてしまう、ということが常識でした。

つまり、コラーゲンペプチドを食べても、アミノ酸が吸収されるだけ。ヒドロキシプロリンは再利用されない(体内のタンパク質合成には不要)。コラーゲンの他の主なアミン酸であるグリシン、アラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギンは、ブドウ糖から合成可能。これらから、コラーゲンペプチド食べなくても、タンパク質は合成される。と言われていました。

それに対して、コラーゲンペプチドの研究が進んできて、2009年には、プラセボを用いた二重盲検試験(本人にわからないように偽薬とコラーゲンペプチドを食べてもらう群を分けて測る)において、1日5gのコラーゲンペプチドを4週間摂取することで、30歳以上の被験者では、肌の角質水分量の上昇が認められました(大原ら 日本食品科学工学会誌 56, 137-145, 2009)。

2014年の直近の発表では、同様のきちんとした試験において、1日2.5g、あるいは、5gのコラーゲンペプチドを4週間摂取することで、50歳以上の被験者では、肌の弾力が20%以上上昇することが認められ、また、1日5gを4週間摂取することで、45歳〜65歳の被験者の肌のシワ容積が減ることが確認できました。その際、被験者の肌の組織を取って調べたところ、コラーゲンやエラスチンなど、肌のタンパク質の合成が促進されていることもわかりました(Skin Pharmacol Physiol 2014;27:47–55)。

講演写真

これらのことから、すべての方がコラーゲンペプチドを飲んで皮膚の状態の改善を感じる訳ではない(特に問題の無い方は変化しない)ですが、皮膚の状態の改善を感じる被験者が有意に多くなっています。また、血流の改善も確認されていますので、血流改善により肌の状態が良くなると感じることも考えられます。

そのほか、血圧の降下も観察されています。また、動物実験では、骨密度の上昇、紫外線によるダメージ回復促進、骨折の回復促進、褥瘡(床ずれ)の治癒促進、関節の軟骨の保持などが次々と報告されています。

コラーゲンペプチドは吸収されるのか?

このようにヒトや動物での試験で、コラーゲンペプチドを食べることによる効果(生理機能)が確認されたことから、ヒトで効果があるなら何か理由があると思い、我々は仮説として、「一部のコラーゲンペプチドはペプチドとして血液中に吸収され、吸収されたペプチドが機能を持つのではないか」と考えました。

そして、2003年に、ヒト試験で、コラーゲンペプチドを摂取してから採血して、血液中のヒドロキシプロリン(Hyp、コラーゲンにしか含まれない)型ペプチドを測定しました。その結果、血液中にコラーゲンペプチド(ペプチド型のHyp) が吸収されていることがわかりました。これは本当にびっくりしました。当時は、血液中に移行するのは微量で、移行しても直ぐにアミン酸に分解されると考えられていました。ところが血中移行3時間後においても、かなりの濃度で確認できました。従来でもペプチドが血中移行することは証明されていましたが、非常に量が少なかったのです。我々の試験では、Pro-Hypはその3万倍の濃度でした。これは今迄の栄養学の常識の想定外のことでした。

2005年に発表した内容

スライド写真

血中移行するペプチドの種類と量も同定できており、一番多いのは、Pro-Hyp(プロリルヒドロキシプロリン)でした。その次は、Hyp-Gly(ヒドロキシプロリルグリシン)です。

コラーゲンペプチド(アミノ酸が10〜50個つらなったもの)を食べると、半分くらいはアミノ酸にまで分解され、半分くらいはアミノ酸が2個以上つながったペプチドのまま吸収されます。その吸収されたペプチドは、Pro-HypとHyp-Glyが主成分です。

吸収されたコラーゲンペプチドの働き

そこまでは証明できましたので、次は、その主成分について、どのような機能があるのか確認するため、肌への体感性から考えて、コラーゲンやヒアルロン酸を合成する細胞の代表である「線維芽細胞」への影響を調べることにしました。

調べるにあたり次の考察をしました。動物実験では、コラーゲンペプチドの摂取で骨折の回復促進、日焼けからの回復促進、関節炎の改善、骨密度の増加などの報告では、組織をいじめた時に効果が出ています。最近のヒト試験では、褥瘡の治癒促進、冬期の表皮の水分増加などの報告では、トラブルのある時、あるいは年齢の高い時に効果が出ています。これらのことから、コラーゲンペプチドは、ダメージを受けた時に回復を促進するのではないかと考えました。

それを確認するためのマウスの試験では、皮膚から傷を治すために線維芽細胞が出てきました(傷を治す時は、線維芽細胞が集まってきて組織を修復します)。さらに、同様の試験でPro-Hypを加えると、皮膚から出てくる線維芽細胞の数が増えました(Pro、Hyp単体のアミノ酸を加えても増えなかった)。つまり、Pro-Hypは、傷を治すのを促進すると考えられます。

スライド写真

また、手術の際に採取した肉芽腫(体内に侵入した病原体などの異物を取り囲むことで作用を抑える免疫反応により生じる炎症性の腫瘤)を測定すると、Pro-Hypが確認されました。これは、怪我をした所では、痛んだ組織を分解してPro-Hypが合成されるということを表しています。そして、コラーゲンペプチドを食べたときも、同様にPro-Hypが出てきます。つまり、Pro-Hypが自分で傷を治すための信号になるのです。そして、コラーゲンペプチドを食べたら、それが補強できるということです。

次に、線維芽細胞を増やすことができないか調べてみました。実は、線維芽細胞というのは、コラーゲンゲル上では、ほとんど増殖しません。そこにPro-Hypを入れると、入れた量に比例して増殖します。つまり、Pro-Hypがあればあるほど、線維芽細胞は増殖されます。傷を治すために皮膚組織などから外に出てくる線維芽細胞も増えます。

スライド写真

これらのコラーゲンペプチドによる線維芽細胞の増殖促進作用を2009年に発表しましたところ、大きな反響がありました。そして、いろいろな研究者の方に興味を持っていただき、近年研究が進んでいます。

そして、Pro-Hypが、線維芽細胞のヒアルロン酸(肌などの保湿成分)合成を促進すること、骨芽細胞の骨合成酵素群の発現が増加(骨折などの治癒促進)、軟骨細胞のヒアルロン酸の合成促進や骨化抑制(硬くなるのを抑える)、血流改善などが発表されています。

コラーゲンペプチドを食べた時に、ペプチドのまま血中移行して細胞に作用することを発見したことで、いろいろな機能(効果)の説明ができるようになってきました。

コラーゲンペプチドを食べることは、傷の修復,肌の潤い改善,関節の状態改善につながることがわかってきました。コラーゲンペプチドを食べて効くはずの無いと考えられていたメカニズムが解明されてきました(されつつあります)。
食べたコラーゲンペプチドが、そのまま体のコラーゲンになる訳ではないです。もちろん一部はアミノ酸としてコラーゲンの材料になりますが、そうではなくて重要なのは、コラーゲンペプチドを食べて吸収した特定のペプチドが線維芽細胞などの細胞に“活”を入れるという作用です。

コラーゲンペプチドの摂り方

食品から摂るのであれば、手羽、うなぎ、豚角煮、牛スジ、煮こごりができるものなどがコラーゲンを多く含みます。ゼラチン(ゼリーにすると水が多い)、コラーゲンペプチド(量が取れる)は効率的です。

肌や関節などにダメージがあるときは、ヒト試験の結果からみて、1日5g〜10gの摂取が効果を得やすいと思われます。

夜に摂ると良いという意見もあります。肌の合成が夜中に行われるので、そうではないかと言われていますが、比較試験は行われていません。

最後に

コラーゲンペプチドは、まだまだわからないことが一杯あります。たとえば、なぜ線維芽細胞が増えるのか、そのようなことを今、研究しています。それがわかれば、もっといろいろな事がわかってくると思います。

文責:食卓にコラーゲンを♪推進委員会 事務局 小田義高
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