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今回は第1回目に募集しましたモニター約200名の尿中ACOP値測定により明らかになったことをご報告します。

「カラダをめぐるコラーゲンの旅 Part4」ACOP代謝とコラーゲンペプチド摂取における体感の関係について

産学連携(※)のバイオベンチャー企業における活性型コラーゲンオリゴペプチド(ACOP)の研究でわかってきた新たな知見をいろんな視点でレポートします。
(※)東京農業大学、城西大学、(株)エアープランツ・バイオ

活性型コラーゲンオリゴペプチド(ACOP:エーコップ)は体内で合成・分解(これを代謝といいます)され、生理活性をもつコラーゲンペプチドのPro-Hyp(プロリン-ヒドロキシプロリン)として作用を示します。

この代謝は身体活動により変動し、かつ個人差があることが判明してきました。コラーゲンペプチド摂取による体感の有無はこの代謝状況が鍵となり、我々はこれを把握することが解明の糸口になると考えました。具体的には代謝量を簡便に測定できる一つの方法として、抗ACOP抗体を作製し、尿中ACOP量を測定することにしました。

今回は第1回目に募集しましたモニター約200名の尿中ACOP値測定により明らかになったことをご報告します(1)。

ACOP代謝とACOP測定の意義

体内ACOP量はコラーゲン合成と分解のバランスにより常に変動しています。分解されたコラーゲンペプチドは血中を介して様々な組織や器官へ到達します。そこでは生理作用を導くためある一定量が消費されます。

一方、腎臓にて再吸収されなかった余剰分は、尿中に排泄されます。したがって尿中ACOPを測定することは、体内ACOP量の一部の指標となり、コラーゲン代謝を知る上で非常に重要であると考えました。さらにACOP量の基礎値や、運動や身体活動を行った際の消費量を把握することで、必要とされるコラーゲンペプチドの量が算出できるのではないか、というアイデアが生まれました。

すなわちコラーゲン代謝バランスがよく、合成と分解が消費を上回るACOP量が十分な方に対して、合成・分解が消費を下回る体質で、ACOP量が不足する方、合成・分解と消費が平衡化している方に分けられると予測しました。実際に、長距離専門のアスリートによる試験では長距離トレーニング前後において尿中ACOP量の変動を見極めることができました(2)。それを基に、コラーゲンペプチドの摂取量の目安が考えられるようになりました。

このように尿中のACOP量からコラーゲン代謝のバランスを理解することができると予想しています。そしてこの点に着目することで、我々の最大の疑問点である「コラーゲンペプチド摂取時の体感の違いの要因」解明の鍵になると予想しています。これらの方々のコラーゲン代謝バランスの変動と、コラーゲンペプチド摂取の際の体感について統計解析を行い、個々の体感の違いが明確になると期待しました。

骨や皮膚など体の様々な組織や器官

ACOP測定の実施内容

まず今回のACOP測定がどのように実施されたかをお伝えします。ニッタバイオラボ(現、新田ゼラチンダイレクト)会員様へACOP測定を希望される被験者を募集したところ、約200名の応募がありました。

被験者にはアンケート調査も同時に実施し、コラーゲン摂取状況や体感等について回答していただきました。まず、今回のモニターは女性が圧倒的に多く約9割(89.8%)を占め、男性が約1割(10.2%)でした。平均年齢は女性が56.4歳、男性が52.7歳で、全体として56.1歳でした。この被験者の方々に下記のように協力していただきました。

実験スケジュールの図にあるように起床直後の尿(第1尿)を採尿し、朝食後、日常的な適度な活動を実施してもらい、その後に2回目の採尿(第2尿)を行ってもらいました。この2回の尿測定により判明することは以下のとおりです。まず第1尿は起床後の安静時のものであり、食事由来のものがない体内合成・分解由来のACOPの基礎値になると考えました。次に第2尿は、朝食や活動の後に変動したACOP代謝値として考えました。

実施スケジュール

アンケートの結果
体感のある方はコラペプを頻繁に摂取している

今回の募集では新田ゼラチンダイレクト会員様の会員限定とのこともあり、被験者は日常的にコラペプ(コラーゲンペプチド健康食品)を摂取している、もしくはコラペプを摂取したことのある方々になります。コラペプ摂取状況は被験者全体の8割(78.8%)が毎日摂取している方々でした。

この毎日摂取していると答えた方々の中で、コラペプの体感をもつ方(とてもある・ある時が多い・無い時が多い)は78%で、全く体感をもたない方は20%でした。さらに、2日毎に摂取している方では体感がとてもある方は減少しますが、体感を持つ割合は増加していました。1週間ごとに摂取している場合では体感の無い時が多い方が圧倒的に多いことが明らかになりました。

つまり、コラペプ摂取は適宜間隔がある方でもある程度の体感を持つようですが、毎日や2日毎に摂取した方に体感があることが判明しました。

「コラペプ」摂取状況と体感の関係

尿中ACOP値から読み取れること
低い方に体感のある方が多い

まず起床後第1尿(採尿1)を考察します。今回の測定では高齢化に伴う顕著な減少とまでは言えないものの、65歳以上の高齢者では低濃度の傾向が認められました。また、前日夕食からの排尿回数が多いほど低濃度でありました。これらのことから、高齢者においてACOP量が低下することが予想されました。最も興味深いことは、体感のとてもある方はACOP量が低値の方に多く、逆に体感が現れにくい方では比較的高いことが判明しました。すなわちACOP値が低い方は体内ACOP代謝の低下によるACOP不足のため、コラペプ摂取による補充により体感効果が生じやすいと考えられます。

起床時の尿中ACOP量と体感の関係

次に適度な活動後における第2尿のACOPは、活動に伴って分解が促された後に余剰分として排泄されるACOP量として考え、ACOP代謝の状況を把握できると考えました。具体的には第1尿での基礎値と第2尿を比較して、どれだけACOP値が変動するかの検証となります。結果は3パターンに分類されました。上昇型、代謝一定型、下降型です。上昇型ではACOPを円滑に代謝できており、より多くのACOPを末梢組織に働きかけられる(ている)と考えられます。変化の少ない代謝一定型は活動により安定した代謝により適宜供給(消費)も生じていると考えられます。一方で下降型では活動による代謝が促される状況においても分解が少なく、供給も不足していると考えられます。

ここでは今回の平均値となるACOP代謝バランスの図を示します。結果は代謝一定型でした。多くの方は適度な活動後において若干の上昇を認めつつもほぼ一定傾向にあり、上手にACOP分解を促していることが判明しました。被験者の活動内容には読書や料理、散歩などの軽度の活動から長距離のジョギングまで過剰な負荷のある方まで各々異なりますので、これらの変化とその際の活動状況を照合して検証できるようにしました。そしてこの結果からもACOP代謝を評価することができ、摂取するコラペプの量や頻度の目安に繋がると考察しました。

ACOP比平均値

次回の予告 第2回目のACOP代謝モニターの結果報告

尿中ACOPを測定することは、コラーゲンの品質を知る一つの要素にもなることから非常に有意義であることに加え、コラペプ摂取の体感との関係を示唆することができました。これらの意味で、今回の検証から多くの情報が得られました。一方、我々はACOP測定の精度を高めつつ、その成果を研究論文として国際誌に発表しました(2)。次回の報告では測定方法について少し詳しくご紹介するとともに、第2回目に実施したモニター100名のACOP測定により得られた成果をご紹介したいと思います。

【参考文献】
(1)ニッタバイオラボ あこがれ通信2020 vol.70 P3-4「活性型オリゴペプチドACOPモニター報告」
(2) Osawa et al., Scientific Reports 2021, 11. 13527

記事執筆

エアープランツ・バイオ

エアープランツ・バイオ@東京農大

(株)エアープランツ・バイオは東京農業大学総合研究所にラボを構えるバイオベンチャーです。
これまで測定することが困難であった低分子ホルモンやペプチドに着目し、それらの抗体を独自に作製することで新たな測定系の開発に挑戦しています。最近、活性型コラーゲンペプチド測定の開発が成功したことにより、コラーゲンペプチド代謝研究の飛躍的な進展が期待されます。
エアープランツ・バイオはバイオの技術で毎日の健康生活をサポートしてまいります。
URL:https://airplants-bio.co.jp/

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