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コラーゲン研究室

活性型コラーゲンペプチドの探究

「元祖!コラーゲン食通」〜縄文人に学ぶコラーゲン摂取のあり方〜

国立歴史民俗博物館からの実学レポートです。

千葉県佐倉市、佐倉城址内にある国立歴史民俗博物館、通称「歴博」では日本の歴史を垣間見ることができます。成田空港にも近いので、最近では海外旅行者の訪問も多い、人気観光スポットになっています。2019年3月にリニューアルオープンし、まるでタイムスリップしたかのような演出によって日本の歴史に触れ親しむことができます。石器時代から現代までの歴史と、それにかかわる民俗資料が展示され、その充実ぶりは見学に丸一日費やすほどです。

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特に先史・古代の第一展示室はリニューアルされた事もあり、最新の知見が盛り込まれ、私たち祖先のルーツが分かりやすく解説されています。これまで日本人のルーツは、方角的な由来として台湾、朝鮮半島、サハリンからの3通りで、出土する土器や石器の形状とその年代から判別できると理解されていました。ところが近年、これら情報に加えゲノム解析が取入れられると、ルーツは様々な東アジア方面に由来しており、また漢民族とは遺伝的に遠いことが判明したそうです。さらに、今から16000年前から3000年前まで続いた縄文時代からそれ以降の弥生時代への変換は狩猟から農耕文化となることは周知の事実ですが、日本全国(北海道を除く)への米の伝播は600年間にも及んでいたことは意外でした。なんとも気の長い時代の流れです。

出土した骨の特徴もまた当時の生活環境をよく捉えています。縄文人の大腿骨や脛骨は骨太で、顎も大きく頑丈でした。狩猟に必要な骨格と関節が補強され、硬い食べ物に適応すべく顎が発達していました。毛皮の衣類はあったものの、肌の露出部分は多いため、肌を守り、傷のケアもなされていたようです。これらのことは、コラーゲンと深い関係があるのでは?と強い予感がしてきます。そこで縄文人の食生活について注意深く見学することにしました。

縄文時代には稲作が無いながらも食べ物の収穫時期が把握され、定住しながら旬の食べ物を確保し美味しく食べていました。それらの食材からは、栄養バランスがとても良いことがうかがえます。淡水魚のサケやアユ、コイ、貝類は安定して採取でき、またイノシシやシカ、鶏などの動物を狩猟していました。写真
植物性の食べ物には栗やドングリ、クルミなどの木の実やナッツ類、穀類には小豆や大豆、野菜は山芋や山菜、またアケビ類などの果物がありました。当時の人口は最盛期でも26万人と極めて少ないことから(*1)、食材は豊富にあり、大きな天災がない限り、食に困ることはなかったと予想されます。
食材の栄養素に着目すると、タンパク質がメインであり、炭水化物はそれほど多くはなく、ビタミンやミネラルもバランスよく摂取できています。後述しますが、脂っこい肉(脂質)の大量摂取にも適応していました。一方、この頃には食品の保存方法も獲得しており、塩漬け、燻製、発酵など、年中いつでも食べられるよう様々な工夫がありました。加熱してタンパク質を変性させ柔らかくして食べやすくする、消化・吸収をよくする、旨味を出させるなどもこの時代から始まったようです。すなわち、縄文人は食生活を通してカラダを作る、健康を維持するだけでなく、機能性や嗜好性も取り入れており、現代人の食生活に匹敵するほど十分な栄養や各々の食材効果の知識をもつ食通だった!かもしれません。
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では、コラーゲンの摂取や代謝はどのようになっていたのでしょうか?実は縄文人はすでにコラーゲン摂取や合成を高める業を身につけていたと推測できます。むしろコラーゲン代謝がとても活発で、コラーゲンリッチな人であったといえます。それはコラーゲン豊富な動物の皮や魚貝類に加え、体内のコラーゲン合成・代謝を高める木の実や野菜、果物をバランスよく摂取していたことに起因します。すなわち、ナイアシンや鉄、ビタミンCを豊富に摂取しています。まるで栄養の教科書どおりです。さらに興味深いことに、縄文人のコラーゲン代謝も現代人とは異なっていたかもしれないことが、最近の研究により分かってきました。

ごく最近、北海道礼文島船泊遺跡で発見された縄文人女性の歯由来の細胞より全ゲノム解読が成功し、彼らの体質が明らかになりました(1)。縄文人は、茶色い目、髪は細く濃い肌の色の容姿をしており、さらに高脂肪食に対する耐性をもつ脂質代謝を備えていたようです。また、縄文人ではプロリンの代謝酵素(プロリン脱水素酵素)遺伝子の欠失が認められ、血液中のプロリン濃度が高いことが予想されます。コラーゲンの特徴の1つとして知られるコラーゲンにのみ含まれる特殊なアミノ酸は水酸化プロリン(ヒドロキシプロリン)で、近年明らかとなっているコラーゲンペプチドの生理活性成分がプロリン-水酸化プロリン(ヒドロキシプロリン)のジペプチドです。したがって、このプロリン代謝の違いはコラーゲンが示す作用に大きな違いがあると考えられます。現時点においてこの変化がどの程度影響を及ぼすかは不明ですが、骨太の筋骨隆々体格や肌が強いことを考えると、この違いは縄文人の特徴を示す要因の1つであると考えられます。今後のコラーゲン代謝研究の貴重な材料にもなる興味深い内容です。

さて、農耕文化が次第に定着すると、食料の安定供給による多様化や衣類の発達、様々な文明による環境変化に伴って、沢山のコラーゲン摂取や合成の必要性は減少し、次第に体質も変化していったのではないでしょうか。医療技術が無いため、縄文人は現代人よりも短命ですが、良質で豊富なコラーゲンの貯蓄は、骨格にとどまらず、髪や皮膚、爪が頑丈で状態がとても良かったに違いありません。

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いかがでしたでしょうか?我々の祖先は生活の中で様々な知恵を身につけていましたが、身体のことを十分に理解し、栄養には特に気を配っていたのではないでしょうか。文明の発展に伴う体質変化の1つの例といえますが、コラーゲン代謝は縄文時代の食生活に戻した方が良さそうです。食文化というテーマでの「歴博」巡りはとても新鮮でした。

*1)縄文時代最盛期の人口26万人を都道府県で分散すると、一県あたり約5500人。東京都千代田区の1キロ四方に居住する平均人数とほぼ同じ。1世帯数を平均8〜10人とすると、1県あたりおよそ650世帯が居住していたこととなる。

参考資料:国立歴史民族博物館 URL:https://www.rekihaku.ac.jp

1) Kanzawa-Kiriyama H. et al., Anthropological Science (2019)

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エアープランツ・バイオ@東京農大

(株)エアープランツ・バイオは東京農業大学総合研究所にラボを構えるバイオベンチャーです。これまで測定することが困難であった低分子ホルモンやペプチドに着目し、それらの抗体を独自に作製することで新たな測定系の開発に挑戦しています。最近、活性型コラーゲンペプチド測定の開発が成功したことにより、コラーゲンペプチド代謝研究の飛躍的な進展が期待されます。エアープランツ・バイオはバイオの技術で毎日の健康生活をサポートしてまいります。
URL:https://airplants-bio.co.jp/

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