電車の中で、人ごみで「もしかして私、におってる!?」― 蒸し暑くなってくると、気になるのが体臭。近年はスメルハラスメントという新語も登場し、関心の高さをうかがわせます。
体臭は汗と密接な関係があります。とはいえ、汗をかかないわけにはいきません。ポイントは、汗の「質」―においのもとになる成分を、汗の中に増やさないこと、と専門家は話します。日常生活の中でできる対策や、それでも気になる人のための治療法をまとめました。
日本の夏は気温・湿度ともに高いのが特徴。汗もかきやすく、それとともに体臭も気になってくるものです。
しかし、実は汗そのものには、臭いはほとんどありません。かいた汗をそのままにしていることで酸化したり、細菌が分解したりして、不快な臭いが発生するのです。
汗は皮膚の汗腺という部位から分泌されます。汗腺には全身の大部分を占める「エクリン腺」と腋の下や陰部など一部に存在する「アポクリン腺」の2種類があり、前者は酸性、後者は尿素やアンモニアを含むアルカリ性といったように汗の性質が違います。いわゆる「わきが」はアポクリン腺から出る汗が原因で強い臭いを発する症状です。
暑くなり体温が上昇すると、交感神経が興奮しアセチルコリンという物質を分泌する。この作用により汗腺が活動し、汗をかいて体温を下げる。
加齢とともに、汗腺の働きは鈍くなっていきます。汗が少ないと臭いも抑えられると思いきや、実は逆。日ごろから汗をコンスタントにかいている人の方が、臭いのもとになるアンモニア成分やタンパク質を体内にためこまないので、かく汗も水分が多く、体臭のもとになりにくいのです。
さらに、高齢になるとトイレの回数が気になり、夏でも水分を控える人が多いようですが、これは汗の水分も減らすため、濃い汗(アンモニア成分やタンパク質が多い汗)をかき、臭いやすくなってしまいます。つまり、汗の「質」に問題があるというわけです。
また、年齢に関わらず、食生活の欧米化などにより肉食や脂っこいものをたくさん食べることも、臭いやすくなる要因に。ストレス過多や更年期症状の一つであるホットフラッシュは自律神経の乱れを誘発し、一度に大量の汗をかきやすくなります。
なお、汗をかいたらこまめに拭くこと。酸化や細菌による分解臭を抑える対策になります。
→これらを心がけ、汗の「質」をよくしましょう!
市販の多くの制汗剤には、汗を抑える成分+抗菌成分が配合されています。しかし汗をかいたままの状態でつけても、体臭を抑える効果は期待できません。まず汗をよく拭いてからつけることがポイントです。
制汗剤を使わないときにも、「かいた汗はすぐ拭く」が体臭ケアの基本といえるでしょう。
汗による体臭とともに、歳を重ねると気になるのが「加齢臭」。文字通り、加齢とともに発生する体臭を指しますが、この臭いの原因「ノネナール」という物質で、皮脂に含まれる脂肪酸が、酸化したり、分解されたりすることで発生します。ノネナールは、40代以降に男女問わず増加するとの研究報告もあります。
したがって、ノネナールの発生を抑えることが加齢臭対策のポイントに。日常生活の中では次のことがらに気をつけると良いでしょう。
なお、加齢臭は、汗をかきやすいところから発生しますが、よく“枕が臭くなる”など言われるように、「頭皮」からの臭いが特に強いといわれています。
そのため、デオドラント効果の高いシャンプーを選ぶのも加齢臭対策には効果的といえます。
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消臭成分「カキタンニン」配合。頭皮環境を整えつつ、臭いケアもするシャンプー。聖心の薄毛予防「KIPシャンプー」も、実は消臭成分「カキタンニン」を配合して頭皮環境を整えつつ、臭いケアもしています。
(問合せ:聖心美容クリニック0120-225-347)
生活習慣を見直しても臭いが気になったり、市販の制汗・デオドラント剤では効果を感じにくい場合、クリニックに相談するのも一つの手。多汗症・わきがの治療を掲げたクリニックや美容医療を積極的に行っているクリニックには次のような治療法があります。
薬剤の成分が汗腺に“フタ”をするよう作用し、発汗を物理的に抑制。効果が長時間(3~5日)持続し、衣服への色移りなどもないロールオンタイプの制汗剤です。
汗腺の活動を促すアセチルコリンの分泌を抑制することで、汗を抑える治療法です。腋や手の平など、汗が気になる部位に注射します。1部位10分程度の治療で3~6カ月艇程度の制汗作用が期待できます。
中程度~重度のわきがに対する治療です。マイクロ派(電磁波)を腋などに照射し、汗腺を壊して汗を抑えます。部分的に汗腺を壊しても、全身の体温調節機能に影響はありません。1時間程度の治療で傷跡も残らず、半永久的な効果が期待できます。
(聖心美容クリニックの例。問合せ:0120-225-347)
お話しを伺った方 聖心美容クリニック 統括院長
鎌倉 達郎(かまくら たつろう)
日本美容外科学会専門医。2016年日本美容外科(JSAS)会長。日本外科学会認定医。日本再生医療学会会員他。宮崎医科大学医学部卒業後、九州大学医学部附属病院(現 九州大学病院)にて外科全般を習得。大手美容外科勤務等を経て2004年より現職。特に再生医療分野では、2007年に「脂肪組織由来肝細胞移植による豊胸術」において美容医療領域では国内第一症例目になる手術を実施し、現在まで世界一の症例を重ねるなど高い評価を得ている。
健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。
「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。