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健康のために

渡邉真由美のヘルスケアレポート

2018年 12月 更新50代の2割以上!? おおごとになる前に手を打ちたい「かくれ脳梗塞」

人間ドック等で脳の画像検査(CTやMRI)を受けたときに、血管が詰まっていると指摘されたことはありませんか?症状はないけれど、このように検査で見つかる「かくれ脳梗塞」は、血管性の認知症や脳出血のリスクになるなど、軽視できない病態です。
予防策や、万一のときに知っておきたい大きな発作の前ぶれ症状についてまとめました。

小さな血管が詰まり、脳にじわじわとダメージが

かくれ脳梗塞は、医学的には「無症候性脳梗塞」と呼ばれています。

脳には一つひとつの脳細胞に酸素や栄養素を届ける無数の血管が張り巡らされています。かくれ脳梗塞はその細い動脈が詰まっている状態。高血圧などが原因で血管壁が厚くなり、狭くなってしまうのです(ラクナ梗塞 下図参照)。それだけで命に関わることはありませんが、ラクナ梗塞ができた場所の血流は悪くなりますので、梗塞が増えると脳の活動に悪影響を及ぼし、記憶力の低下を主とする脳血管性認知症の遠因に。

また、かくれ脳梗塞のある人は高血圧により血管が破れやすいので脳出血も起こしやすく、注意が必要です。

かくれ脳梗塞は脳ドック受診者のうち50歳代で2割強見つかり、加齢とともに増えるとの報告も。(※1)無症候性ですが、ものが飲み込みにくいことをきっかけに検査を受けたらかくれ脳梗塞だった、というケースも聞かれます。40歳を過ぎたら一度、自分の脳の状態を知る意味で、脳ドックを受けておくことも自衛の手立ての一つになるでしょう。


<<梗塞の種類>>

梗塞の種類

左から、血管壁が厚くなり詰まる「ラクナ梗塞」、血管壁にコレステロールが溜まり狭くなって起こる「アテローム血栓性梗塞」、心房細動などの病気で心臓内にできた血栓が脳の太い動脈に詰まって起こる「心原性梗塞」。

誤嚥性肺炎につながることも!

特に高齢者に多い死因の一つに、唾液や食物が誤って気管から肺に入り込み、細菌に感染することで起こる「誤嚥性肺炎」があります。ラクナ梗塞が脳の大脳基底核という部位に起こると、嚥下反射や咳反射をつかさどる神経がダメージを受けるため、飲みこむ力や異物を吐き出す力が弱まります。誤嚥性肺炎を起こさないためにも、次に述べる動脈硬化対策を心がけることが大切です。

脳梗塞の予防には、日ごろの健康管理を

かくれ脳梗塞がわかったら、脳出血や脳梗塞の大きな発作を起こさないよう、動脈硬化の進行を防ぐことが大切です。

がんや心疾患に並び、脳梗塞をはじめとする脳血管疾患は日本人の死因の上位。検査を受けていない人や、受けても異常がなかった人も次の事柄に気をつけ脳梗塞を予防しましょう。

●血圧の管理を!

脳梗塞の予防には、高血圧にならないようにすることがもっとも重要です。脳梗塞患者の6割以上は高血圧があり、糖尿病(3割弱)、脂質異常症(2割強)に比べ多いとの研究報告もあります。(※2)

できれば毎朝、血圧を測る習慣をつけましょう。起床後1時間以内、朝食前の計測が望ましいとされています。65歳未満の場合、130/85㎜Hgが正常範囲の目安です。

●血糖値の管理を

糖尿病になると脳梗塞を起こしやすくなります(※3)。糖質を摂りすぎないようにし、定期的な健康診断で血糖値のチェックを。HbA1c値6.5%未満、空腹時血糖値130㎎/dl未満が正常範囲の目安です。

●適度な運動を

肥満は高血圧や高血糖のもとに。対策としては食事だけでなく身体を動かすことも大切です。1日8000~1万歩を目標に。

●アルコールは飲み過ぎないように

飲酒はビールなら中瓶1本、日本酒なら1合が目安。飲酒量が過剰になると、脳梗塞の発症リスクが高まることがわかっています。(※4)

●禁煙

禁煙すると、脳梗塞を含む脳卒中のリスクが確実に下がります。

30~40代もご用心!「首回し」が発症リスクになることも

脳梗塞の主要因は、内臓型肥満を背景とした動脈硬化ですが、血管や心臓、免疫系の病気といったほかの疾患、および外傷による首や頭の血管の損傷で発症することも。

交通事故などによるむちうちや、レジャー中に頭を打つなど、首や頭に急激に大きな力が加わることが引き金となり、頸部や頭部の動脈が裂ける「脳動脈解離」を起こすと脳の血流が途絶えてしまうのです。

日常生活でも、肩や首のこりが気になり、首をひねったり回したりするクセのある人は要注意。ストレッチ程度にゆっくり動かすのなら良いのですが、急に強い力をかけるのは危険。外傷を要因とする脳梗塞は、若い30~40代でも起こり得ますので注意しましょう。

しびれる、片目が見えない、ろれつが回らない……こんな異変が起こったらすぐ病院へ

脳梗塞は突然大きな発作が起こることも少なくありませんが、中には、前ぶれとしてTIA(一過性脳虚血発作)と呼ばれる軽い症状が現れるケースもあります。

手足の力が突然抜ける、片方の目が急に見えなくなる、ろれつが回らなくなるなどがありますが、数分~数時間でおさまることも多いので、「疲れのせい」「ちょっと調子が悪いだけ」などと見過ごされがち。

脳梗塞を含む脳卒中の初期症状をまとめたものに、日本循環器学会で作成した「FAST」があります。一つでも当てはまるものがあったら、すぐ脳神経科を受診しましょう。

Face(顔の麻痺)

顔の片側の感覚がなくなり、動かせなくなる。ほかに、片方の目が見えなくなることも。

<チェック法>

口を広げて「イー」と発音したときに、片側しか口角が上がらない。

Arm(腕の麻痺)

腕の力が突然抜けて持っていたものを落とす、ものにつかまれなくなるなど。

<チェック法>

両腕を肩の高さまで上げたとき、片側が下がってきてしまったり上がらなかったりする。

Speech(ことばの障害)

ろれつが回らなくなる。

<チェック法>

簡単な言葉でも、ろれつが回らず上手く言えなくなる。

Time(時間)

脳卒中の治療は時間が勝負です。上のFASTのどれか一つでもできない場合は、すぐに脳神経科を受診しましょう。

<参考>

Evidenceに基づく日本人脳梗塞患者の医療ガイドライン策定に関する研究班「脳梗塞とはどんな病気?」https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/1/pub0005/G0000068/0010/0011

Japan Standard Stroke Registry Study

※1 JMHTS Vol.20 No.3 1993

※2 Japan Standard Stroke Registry Study

※3 Cui R. et.al. :Stroke 2011 42 2611-2614

※4 Kiyohara.Y. et.al. :Stroke 26(3):368,1995

渡邉真由美 わたなべ まゆみ

プロフィール

健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。

「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。

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