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渡邉真由美のヘルスケアレポート

2018年 8月 更新その寝不足、熱帯夜のせいではないかも!? 命に関わる「大いびき」、女性も要注意

寝苦しい夏の夜。目覚めがスッキリしなかったり、昼間眠かったりするのも仕方ない、と思いこむのは、もしかしたら早計かも知れません。
自分ではなかなか気づけない「いびき」が睡眠の質を落とし、さらに命に関わる危険な病気のリスクを高めるサインに。女性は特に、更年期以降増えてくるので要注意です。

そもそも、いびきはどうしてかくの?

いびきは呼吸時に起こる「空気の摩擦音」といえます。

鼻腔および口から肺までは、空気を出し入れする「気道」が通っており、喉頭(のどぼとけ)から上を上気道、下の気管~肺を下気道といいます。このうち上気道がなんらかの原因で狭くなると、空気抵抗が大きくなり、呼吸時に振動して音が出ます。これがいびきの正体です。

ではなぜ、上気道が狭くなってしまうのでしょうか。

もっとも大きな要因は「肥満」です。起床時には問題なくても、横になったときに喉の周りの脂肪が気道にのしかかり圧迫するのです。中高年に多いいわゆる「メタボ体型」は、後述する「危険ないびき」のハイリスク群であることが知られています。

“小顔”“やせ”でも安心できない

それでは太っていなければ大丈夫かといえば決してそうとはいえません。

いびきは気道が狭くなる、つまり睡眠時に首周りが圧迫されやすい状態にあると、体型に関係なくかきやすくなります。

例えば「舌」。舌が大きいとあおむけに寝たときに上気道が塞がれ、いびきをかきやすくなります。「首が短い」人や「太い」人も、体つきはぽっちゃりしていなくても寝ているときにのどが圧迫されやすくなります。

骨格の面ではあごが小さかったり、横からみたときに後ろに下がっていたりする人では、気道の入り口がもともと狭いことが多く、いびきの要因に。

その他、口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)や、鼻腔の奥にあるアデノイドが大きい人もいびきをかきやすいことがわかっています。

いびきをかきやすいタイプ

  • 太っている
  • 首が短い、太い
  • 舌や舌のつけ根が大きい
  • あごが小さい、後ろへ引っ込んでいる
  • 扁桃腺やアデノイドが大きい

女性は閉経後に「いびきデビュー」する人も

誰もが避けられない「加齢」も、それ自体がいびきの要因になります。若いころはなかったはずなのに、年を重ねてから周囲に指摘されるようになった、というケースも少なくありません。性別に関係なく加齢とともに、鼻とのどの境である軟口蓋と呼ばれる部分が垂れ下がってきて、気道が狭くなるのです。

女性においては更年期以降、ホルモンバランスが変化することも実はいびきに関係します。

一つには、女性ホルモンには上気道の拡がりを維持する筋肉の動きを活発にさせる作用がありますが、閉経後はホルモン減少のため上気道の幅が維持されにくくなり、いびきをかきやすくなります。

もう一つは、女性ホルモンには内臓脂肪をつきにくくする作用もありますが、こちらも閉経後ホルモンが減少することで内臓脂肪が蓄積しやすくなる、つまり肥満しやすくなるので、その結果脂肪が気道を圧迫し、いびきをかきやすくなる、というわけです。

口の中

アデノイドや口蓋扁桃が大きい人はいびきをかきやすい。また、加齢により軟口蓋が下がってくると、のどが塞がれいびきをかきやすくなる。

生活習慣病を起こす「危険ないびき」

「たかがいびき」と思われがちですが、中には「うるさい」とか「人に知られると気まずい」といった音の問題で片づけられないいびきがあります。

冒頭で、いびきは空気が気道を通るときの摩擦音といいました。摩擦があっても絶えず空気が行き来していればいいのですが、気道がほとんど塞がれ、空気が通らなくなってしまうことも、いびきでは起こります。

すなわち「窒息状態」が毎晩の睡眠中に、断続的に起こるのです。このような状態を「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」といいます。英語の略語で「OSAS」と呼ばれることもあります(以下 無呼吸と表記)。

目安として、10秒以上の呼吸停止が一晩のうちに何度も起こっていると、無呼吸が強く疑われます。また、呼吸が再開されたときに「ゴォォ」と、異常ともいえる大いびきをかくのが特徴です。

無呼吸では、高血圧を合併しやすいことがわかっています。健康な人では通常、睡眠中は昼間の活動時に比べ血圧は低くなります。しかし無呼吸になると夜になっても血圧が下がらず、逆に昼間より高いケースも患者さんにはみられます。

高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの、命に関わる心血管疾患の重大なリスク要因の一つです。過去の研究で、夜間の血圧が昼間に比べ高い場合、他の高血圧患者と比べて脳卒中や心筋梗塞、狭心症のリスクが高まることが報告されています。

近年では、代謝機能にも悪影響が及ぶとし、糖尿病との関連も複数の研究から指摘されています。

さらに、無呼吸では身体が低酸素状態になるため心拍数が上がるなど、緊張状態になります。本来、体を休めるための睡眠なのに、無呼吸ではそれができないため、日中に強い眠気があったり、疲労感があったり、集中力がなくなったりなど、生活に大きな支障が生じやすくなります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群 チェックポイント

  • 睡眠中に呼吸が止まり、再開時に大きないびきをかく
  • 日中、強い眠気や疲労感がある。集中力がない。
  • (毎朝 血圧を測っている人)朝の血圧が上がってきた

女性は「更年期症状」と間違えやすく、発見が遅れがち

睡眠時無呼吸症候群の有病率は、男女を比べると男性の方が2~3倍多いとされています。しかし、先述の通り女性でも、加齢および女性ホルモンの減少で発症リスクが高くなります。

一方、日中の「眠気」や「疲れ」が、例え無呼吸によるものであっても、これらは女性にとって更年期症状にもよくあることなので、見過ごされやすいのが問題です。知らず知らずのうちに、命に関わる脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まっている恐れがあるのです。

いびきを家族や周囲から指摘されたり、日中の眠気や疲労感が生活に支障をきたすほど深刻だったりする場合は、医療機関に相談してみましょう。近年は無呼吸の専門外来も増えてきました。睡眠外来や循環器科、呼吸器科などでも診療しています。

渡邉真由美 わたなべ まゆみ

プロフィール

健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。

「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。

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