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「首凝り」の原因には、スマホやパソコン使用での「悪い姿勢」が挙げられます。首凝りを防ぐ生活習慣と、仕事や家事の合間にたった数分できる体操を専門医に教えてもらいました。

スマホや運転も原因!?専門医が語る「首凝り」解消法

「首凝り」解消法

まるで鉄板が入っているよう!?今や子どもからシニア世代まで悩み深き「首凝り」。大きな原因には、スマホやパソコンの普及を背景とした「悪い姿勢」が挙げられます。
首凝りを防ぐ生活習慣と、仕事や家事の合間にたった数分できる体操を専門医に教えてもらいました。

1.みんな何気なくやっている!?「首凝り」の悪習慣をチェック!

首は成人で5㎏ほどもある頭を支えています。その屋台骨が「頸椎」と呼ばれる首の骨。
頸椎は小さな7つの骨が重なり、それぞれの骨の間にはクッションの役目をはたす椎間板という軟骨があります。
何らかの要因で首に負担がかかると、椎間板の中にある髄核というゼラチン状の組織がずれて変形のもとに。それによって周囲の組織が損傷し、痛みとなってあらわれると考えられています。

もっとも大きな要因は「悪い姿勢」。次の項目に思い当たることがあったら、要注意です。

首凝りを起こしやすい姿勢 チェックポイント

  • 時間を忘れるほどスマホに熱中することがよくある
  • パソコンの画面を無意識のうちに、前かがみでのぞきこんでいることが多い
  • 手提げよりリュックがラクだからと、荷物をたくさん入れて背負っている
  • 車の運転時に、前のめりになりやすい
  • あぐらをかいたり、横座りすることが多い

首凝りが慢性化すると自律神経のバランスが崩れるなどで、頭痛やめまい、うつ症状といった「不調の連鎖」も起こりやすくなります。
我慢せずに、まずは姿勢の見直しとセルフケアで改善を試みましょう。

2.「あごの突き出し」が首凝りのもと。読書も、運転も、あごを引いて!

上の「悪い姿勢」に共通しているのが「あごの突き出し」。
姿勢を良く、と言われて猫背には気をつけても意外とあごはノーチェック。無意識のうちに突き出ている人は多いものです。この姿勢が、椎間板の中の髄核のズレを誘発しやすいのです。

3.首凝りを改善する姿勢のポイント

スマホ、PCは見やすい距離で

あごを引いた姿勢を保てるよう、スマホを見る位置、パソコンのモニターの高さや目との距離、画面や文字の大きさ等を見直す。必要に応じて、眼鏡などによる視力の調整も。

重いリュックはNG

リュックは、背負ったときの左右のバランスは良いが、重いと首が前に出やすいのであまりものを入れすぎないように。なお、バッグはショルダーより手提げの方が、首に影響しにくいのです。

運転時の前のめりは×

前を注視するあまり前のめりになると首に負担がかかる。頭をヘッドレストにつけたまま運転できる座席位置になるよう調整を。

読書やTVも、あごを引いて

机上で読書するときは、本の下にクッションを置くなどで首が前に出ない工夫を。テレビを観るときも、首だけ画面に向けたり前かがみになったりしないようにする。
あごを引いた状態が維持できる環境にすることが大事。
なお、あぐらや横座りは、腰や背中が丸くなりやすく、首が前に出やすいので避けて。

枕は自分に合った高さを。手作りもおすすめ

寝起きに首の痛みが増す人は、枕の高さが合っていない可能性が。
バスタオルと普通の浴用タオルを組み合わせて、マイ枕をつくってみては。バスタオルは仰向けの首を支えるために丸めて手前におき、他のタオルは畳んで重ね頭を支える。
図のように左右に畳んだタオルを置くと、寝返りを打ったとき支えになり、首が前に倒れるのを防ぐ。最後にバスタオルで全体をカバーすると安定する。

かんたん手作り枕

(出典:銅冶英雄著『頸椎症を自分で治す!』主婦の友社)

4.悪い姿勢をリセットする1日3分の体操、深呼吸も有効

あごを突き出し前のめり気味になっている首を本来の位置に戻すには「首引き体操」がおすすめ。
痛みのもとになっていると考えられる、椎間板の中の髄核のズレを直すのに有効で、大半の人はこの体操だけで、痛みの軽減が期待できます。
たった3分の簡単な体操で、特別な道具も不要ですが、毎日続けることがポイントです。

首引き体操のやり方

  1. 背すじを伸ばしてあごをひき、どちらかラクな方の手で首のつけ根を押さえる。押さえる場所は、首を前に倒したときに骨が一番出っ張る場所(第7頸椎棘突起)の横。
  2. 顔がまっすぐ前を向いたまま、二重あごになるのを意識して首をぐっと後ろに引く。同時に、首を押さえている手を前方に押し出すようにして、背中が後ろに倒れないようにする。

10回を1セットとして、1日1セット~痛みの強い場合は5セットを目安に行いましょう。

この体操とともに、「深呼吸」も効果的です。息を吸うときに胸を張るので、自然と首が惹引かれ、良い姿勢になるのです。

なお、首を回してコキッと言わせるのは、その瞬間は気持ちが良くても、痛みの改善にはなりません。市販の鎮痛薬も、痛みをごまかしているうちに病状を悪化させてしまう恐れがあるので、常用はおすすめできません。

手指や腕のしびれがあったら整形外科の受診を

椎間板の変形が酷くなると、椎骨の中を通っている神経を圧迫し、手足がしびれたりすることもあります。
もし、首凝りに加えて手指や腕にしびれがあったら、セルフケアでは限界があるので早めに整形外科を受診しましょう。手指に力が入らず、字を書く、服のボタンをかけるなどの細かい動作がしにくくなる場合も同様です。

代表的な疾患には頸椎の椎間板がとびだし神経を圧迫する「椎間板ヘルニア」と、骨の変形等で神経の通り道が広範囲に狭まる「頸部脊柱管狭窄症」があります。治療は痛みの緩和が主目的で、薬の内服や注射、器具で温めたり牽引したりする方法などがあります。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア

矢印部分、椎間板がとびでて神経を圧迫している

頸部脊柱管狭窄症

頸部脊柱管狭窄症

矢印部分、頸椎の変形のため神経の通り道が狭くなっている

お話を伺った方

銅冶英雄先生プロフィール

お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック
日本整形外科学会専門医、認定脊椎脊髄病医

銅冶 英雄(どうや ひでお)院長

日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院・国立がんセンター中央病院等での研修、米国留学等を経て2010年より現職。
自身が20代から腰痛を繰り返し、克服した経験から、運動療法を中心として、体の痛みを根本的に治す医療を実践している。『頸椎症を自分で治す!』(主婦の友社)など著書多数。

記事執筆

福田真由美様プロフィール

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