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渡邉真由美のヘルスケアレポート

2017年 4月 更新痛みの“伏兵”に注目! 「筋膜リリース」でつらい肩コリがたちまち消える!?

今や国民病の筆頭株、ない人はいないといっても過言ではない「肩コリ」。
血行不良や筋肉のこわばりなど、その要因にはさまざまなものが言われていますが、近年、新たに注目されつつあるのが「筋膜の癒着」。
筋膜って何?癒着ってどういうこと?筋膜へアプローチした治療に詳しい医師から、話を伺いました。

筋肉を包む膜同士が癒着して痛む

人の体には600超もの筋肉があると言われています。その一つひとつの筋肉は、筋原線維と呼ばれる細い線維質から成り、それらが束ねられて構成されています。
その束ねる役目を担っているのが筋膜と呼ばれる膜です。筋肉は、筋内膜、筋周膜、筋外膜といった何層もの筋膜で覆われています(図参照)。

筋膜は通常、筋肉の動きに合わせて伸び縮みします。ところが次に述べるような運動不足や逆に筋肉の使い過ぎなどにより筋肉に炎症が起こると、その影響が筋膜にもおよび、伸び縮みがスムーズにできなくなります。
そうすると、隣り合う筋肉の筋膜との間の“すべり”が悪くなり、筋膜同士がくっついてしまう=癒着を起こしてしまうことがあります。癒着を起こした部分は厚くなり、動きも悪くなります。これが痛みのもととなり、肩コリとして感じられるというわけです。

癒着がなぜ痛みとして感じられるかは、まだはっきりと解明されていませんが、筋膜をはじめとする、腱や靭帯といった筋肉の周辺組織には、感覚を脳に伝えるセンサー(侵害受容器またはポリモーダル受容器)が点在しており、癒着によってこのセンサーが過敏になり痛みのきっかけをつくるという説が有力です。

特に、痛みに次のような特徴があると、筋膜の癒着が要因となっている可能性が高いといえます。

  • 朝が辛く、夕方になると楽になる、
     あるいはその逆など、一日の中で痛みの強さに変動がある
  • 姿勢を変えたり、肩を回してみたりすると楽になる

一方、動かしても楽にならず、同じ程度の痛みが一日中ずっと続く場合や、ビリビリとしたしびれをともなう場合は、神経などの、筋膜以外の要因が考えられます。専門医の受診をお勧めします。

▼図(筋膜のイラスト)▼

筋膜のイラスト

長時間のスマホやデスクワーク「同じ姿勢」が問題

筋膜の癒着は、日常生活では「同じ姿勢をとりつづけること」で起こりやすくなると言われています。代表例がスマホやパソコンのしすぎです。これらは特に腕、肩、首が前方に出た「猫背」の姿勢になりやすく、特定の筋肉へ過剰な負担がかかりがちです。これにより、筋肉を構成する筋線維が損傷したり、炎症を起こしたりするのです。
筋肉は通常、損傷や炎症があっても数日で自己回復します。しかし、毎日のように負担をかけ続けていると、その回復力も衰え、損傷や炎症が長引いてしまいます。その影響がだんだん筋肉周辺にある、腱や靭帯にもおよび、動きが悪くなると、筋膜の癒着が起こりやすくなるというわけです。

なお、筋膜は「筋肉の使い過ぎ」によっても癒着を起こしやすくなります。例えば久しぶりにスポーツをしたり、大掃除をしたりなどで、普段あまり使っていない筋肉を急に激しく使うなどです。
アスリートにはこのタイプが多く見られますが、一般には使わない=同じ姿勢による癒着が多勢を占めます。

誰でも知っている“あの体操”がおすすめ

筋膜の癒着による肩コリ対策には、「同じ姿勢をとりつづけないこと」が重要。
パソコンなどの作業に集中しているとつい、おろそかになってしまいがちですが、例えば「45分作業したら10分休憩」などと決め、立ち上がって肩の上げ下げや肩回しなどをしましょう。特に、肩甲骨(肩の後ろ~背中についている大きな筋肉)を意識して動かすと効果的です。

また、長年親しまれている「ラジオ体操」も、肩も含め全身をほぐし、筋肉の動きを良くするのに効果的です。
ラジオ体操の特に良い点は、前後、左右、ぐるりと回すなどのあらゆる方向への動きがあるので、やってみて動かしにくい方向や、体の硬くなっている部分がわかりやすいことです。そこを意識して、日常生活の中で動かすようにすれば、次第に動作時や姿勢のバランスが整い、筋肉への負担も減るため、筋膜の癒着予防につながります。

筋膜はコラーゲンが主成分

筋膜の癒着や、それによって起こる痛みと栄養素との関係は、まだ明らかになっていませんが、カルシウムやカリウム、鉄分といったミネラルや、ビタミンB群、Cの不足が、痛みの発生に影響するのではと考えられています。
また、筋膜や筋線維のおもな成分はコラーゲン。コラーゲンを意識して摂ることも、丈夫な筋肉や筋膜づくりに重要と言えるでしょう。

がんこなコリに手ごたえ「筋膜リリース注射」

セルフケアではなかなかとれない、しつこい肩こりに対しては、筋膜の癒着を剥がす治療「筋膜リリース注射」も有効です。
3、4年前から広まり始めた比較的新しい治療法で、超音波(エコー)で筋肉や筋膜の状態を画像にて確認し、癒着を起こしている筋膜に生理食塩水を注入するというもの。筋膜の中でも、筋肉の外側を覆っている外筋膜をターゲットにします。
即効性にすぐれ、多くの場合数分で癒着が剥がれ、痛みが軽快します。薬ではなく、生理食塩水なので副作用を気にしなくていいことや、注射後安静の必要はなく、普段通りの生活ができるのも大きな特長です。

筋膜リリース注射を行っている医療機関は、まだ多くはありませんが、同治療の普及や技術向上を目指す「MPS研究会(筋膜性疼痛症候群研究会)」が全国に渡って活動しており、今後、実施医療機関が増えていくものと期待されます。

筋膜リリース注射による治療の様子。

筋膜リリース注射による治療の様子。

超音波(エコー)の端子を患部に当て、内部の様子をモニターに映し出し、筋膜が癒着している部分に生理食塩水を注射する(肩の場合、1回約3㏄)。
治療時間は着替え、診察を含めて20~30分。費用は自由が丘クリニックの場合1回(1部位)2万円(税別、初診料別)。

筋膜のイラスト

エコー画像。白く光っている部分が筋膜の癒着(左)。
生理食塩水を注射すると癒着がはがれ、白く見えていた部分がなくなった(右)。

<体験しました!>

一週間前に寝違えて右肩と首に動かすのが辛いほどの痛みが。
まずは診察で腕を上げる、首を傾けるなどの動作をチェック。動きの悪い箇所を中心に、エコーで内部の様子を映したところ、肩のやや首寄りに、光るように白くなっている部分を発見。「ここが一番大きな癒着」と、自由が丘クリニックの上原医師。

注射は、針を刺す瞬間チクッとし、生理食塩水が入るとジワッ、ズン、とした感覚がありますが、痛くはありません。注射後あっという間に、エコー画像で白かった部分がなくなっていくのを目の当たりにしびっくり。同時に、あれほど痛かった肩がすっと軽くなり…。
治療直後から、肩の痛みはほとんどなくなりました。首の痛みも2,3日後に、うそのように消えてしまい、寝違えによる痛みはほぼゼロに。効果は個人差がありますが、1回の注射でだいたい2~3カ月は効果が持続するそうです。

体験した自由が丘クリニックでは、上原医師とスポーツ整形外科医の村田亮医師が担当しています。

上原 清先生

自由が丘クリニック
麻酔科・形成外科/医学博士
上原 清先生

麻酔科専門医。日本麻酔科学会、日本ペインクリニック学会、日本美容外科学会、MPS研究会所属。肩こりや腰痛をはじめとするペイン(痛み)の治療に注力し、MPS学会を通して筋膜リリース注射の普及に力を入れている。薄毛や脱毛等、毛髪の悩みにも造詣が深い。

自由が丘クリニック HP:https://jiyugaokaclinic.com/

渡邉真由美 わたなべ まゆみ

プロフィール

健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。

「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。

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