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健康のために

渡邉真由美のヘルスケアレポート

2015年 4月 更新食物アレルギー治療と対策のいま

日本で何等かの食物アレルギーのある人は約700万人、ここ10年で倍増とも言われています。今や、日本人の現代病と言ってもいいでしょう。近年、治療に関する研究が進み、原因となる食物を少しずつ摂りいれて慣らす方向性に目が向けられています。

皮膚を介して発症することも

食物が原因となって起こる食物アレルギーは、症状が粘膜や皮膚だけでなく、呼吸器や消化器、中枢神経系など全身の組織や臓器にあらわれることもあるのが特徴です。口から入ったアレルゲン(原因物質)が胃を通って小腸に達し、そこから血液中に取り込まれると、体内の免疫システムがそれを敵とみなしてしまい、排除しようと過剰に反応するために、さまざまな症状が起こります。

アレルゲンや症状の出方は個人差がありますが、食物のアレルゲンは、血流にのり全身をめぐることから、全身に急激な反応が起こり命に危険が及ぶ恐れがあります。これをアナフィラキシーといいます。昨年、医療者向けに、国内では初となるアナフィラキシーのガイドラインが作成、公開されるなど、対策が進められています。

食物アレルギーは、主には食べ物を摂ったのがきっかけで起こることや(経口感作)、妊娠中に母体から(胎内感作)というルートが知られていますが、最近の研究では、経皮感作といって、皮膚に食べ物が付着したのをきっかけにアレルギーを起こす経路も少なからずあることがわかってきています。

臓器症状
皮膚紅斑 蕁麻疹 血管症浮腫 掻痒 灼熱感 湿疹
粘膜眼症状:結膜充血・浮腫 掻痒感 流涙 眼瞼浮腫
鼻症状:鼻汁 鼻閉 くしゃみ
口腔症状:口腔・口唇・舌の違和感・腫脹
呼吸器咽喉頭違和感・掻痒感・絞扼感 嗄声 嚥下困難 咳漱 喘鳴 陥没呼吸 胸部圧迫感 呼吸困難 チアノーゼ
消火器悪心 嘔吐 腹痛 下痢 血便
神経頭痛 活気の低下 不穏 意識障害
循環器血圧低下 頻脈 徐脈 不整脈 四肢冷感 蒼白(末梢循環不全)
全身性アナフィラキシーおよびアナフィラキシーショック

「徹底的に除去」から「適量摂り続ける」治療へ

ここ数年、アレルギー診療に関する研究は飛躍的に進み、治療や指導法も大きく変わりつつあります。

例えば、かつて、食物アレルギーの診療の場では、「アレルゲンが含まれている疑いが少しでもあれば食べないように」というのが常識でしたが近年は、医師の指導のもとごく少量摂り続けることで耐性をつけ、症状が出ないようにする治療法も、卵や牛乳等一部の食品を対象に研究が進められています。

これは、消化管内に、免疫の過剰な反応を抑える細胞があり、原因となる食物を少しずつ食べることで、この細胞が働き過剰な反応が抑えられることがわかってきたからです(これを免疫寛容といいます)。体内に少しずつ原因物質を入れることで、過剰に反応する免疫を徐々に慣らしていく考え方です。

ただし、こうした考え方があるからといって、自己判断で食べてしまう、食べさせてしまうのはNG。あくまでも医療機関で診察や検査を経て、綿密な計画のもとで行われるべき治療です。

臨床型発症年齢頻度の高い食物耐性の獲得
新生児・乳児消化管
アレルギー
新生児期
乳児期
牛乳(乳児用粉乳)多くは寛解
食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎乳児期鶏卵、牛乳、小麦、大豆など多くは寛解
即時型症状(蕁麻疹、アナフィラキシーなど)乳児期
〜成人期
乳児〜幼児:鶏卵、牛乳、小麦、そば、魚類、ピーナッツなど
学童〜成人:甲殻類、魚類、小麦、果物類、そば、ピーナッツなど
鶏卵、牛乳、小麦、大豆など多くは寛解 その他の多く寛解しにくい
特殊型食物依存性運動誘発
アナフィラキシー(FEIAn/FDEIA)
学童期
〜成人期
小麦、エビ、カニなど寛解しにくい
口腔アレルギー症候群(OAS)乳児期
〜成人期
果物・野菜など寛解しにくい

「食物アレルギーの診療の手引2011」より転載

どの医療機関を受診すればいいの?

日本では医療機関による、アレルギー診療の質の差が大きいことが問題視されています。昨年6月に、どの医療機関でも適切な診療が受けられることや、アレルギーに配慮した教育や福祉の実現を盛り込んだ「アレルギー疾患基本対策法」が成立するなど、対策が急がれています。

「日本アレルギー学会」では、専門医・指導医(専門医を養成する立場の医師)の認定制度を設けています。同サイトでは、都道府県や診療科目別に、専門医・指導医を検索できるようになっていますので、受診の際には参考にすると良いでしょう。

※日本アレルギー学会

「スマホでアレルギーチェック」の新サービスも

一般的に、ストレスや不安、疲れをためないことは、身体の免疫システムを整えるので、アレルギー症状の軽快にプラスとなります。また、特に症状が皮膚に出る場合は、保湿などの適切なスキンケアも大切です。

近年ではスマホでアレルギー情報を提供したり、市販品のアレルゲンを自分でチェックしたりが可能なアプリも注目されています。例えば「アレルギーチェッカー」(ウィルモア)では、食品パッケージのバーコードをスキャンするだけで、数十種類のアレルゲンの含有の有無を表示。表示義務のないアレルゲンも調べられるのが特徴です。

アレルギー症状の改善は、現代の医療では一朝一夕にというわけにはいきません。こうした「アレルギーから身を守る」ツールも利用して、快適な食生活を送りたいですね。

アレルギーチェッカー
アレルギーチェッカー画像

その他参考

日本アレルギー協会:e-ラーニング アレルギー遠隔教育学院
厚生労働省:セルフケアナビ食物アレルギー

渡邉真由美 わたなべ まゆみ

プロフィール

健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。

「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。

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