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渡邉真由美のヘルスケアレポート

2014年 6月 更新“元気のもと”をつくる大切な臓器知っておきたい「甲状腺」の働きと病気

昨今、放射能に関連する報道で目にする機会の多い「甲状腺」。体の他の臓器に比べると、どこでどんな働きをしているか意外と知られていないようです。甲状腺の基礎知識と、特に女性に多い甲状腺の病気についてまとめました。

甲状腺って何?どんな働きをするの?

甲状腺は、健やかに生きる上で不可欠な「ホルモン」を分泌する「内分泌器官」の一つ。
のどぼとけの下あたりにあり、4〜5cm大の蝶のような形をしています。

甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」は、全身の代謝に関わり、発育や成長に欠かせないホルモンです。このホルモンは大人になっても必要で、骨や筋肉、神経に至るまですべての臓器が影響を受けます。こうした働きから「元気の源」となるホルモン、とも呼ばれます。

ただし「元気の源」といっても、分泌量が多ければ多いほど良いわけではありません。過剰になっても不足しても、体の機能に悪影響をもたらします。

「内分泌」と「外分泌」

ホルモンは「内分泌」ですが、これは分泌された後「体内」の組織に運ばれることからそう呼ばれます。おもな内分泌器官は甲状腺のほか、卵巣や精巣、副腎皮質、膵臓などがあります。一方、「外分泌」は分泌された後「体外」へ出ていくものの総称で、汗や唾液などが該当します。おもな外分泌器官には汗腺、唾液腺、乳腺などがあります。

病気になるとどうなるの?どんな病気があるの?

甲状腺のコントロールシステム

甲状腺ホルモンは、脳の視床下部と下垂体からの指令をうけて、一定の値を維持する仕組みが働いています。甲状腺が何らかの病気になると、その指令系統がうまく機能しなくなり、ホルモン分泌のバランスが崩れ、過剰になったり不足したりして、全身の臓器に悪影響をもたらします。

視床下部から出るTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)が下垂体へTSH(甲状腺刺激ホルモン)の分泌を促し、TSHを受けて、甲状腺が甲状腺ホルモンを分泌します。

甲状腺ホルモンは、海藻などに含まれるヨウ素(ヨード)を材料につくられます。

甲状腺の病気は、大きく「甲状腺機能亢進症(ホルモン分泌が過剰になる病気)」「甲状腺機能低下症(ホルモン分泌が減少する病気)」「結節性甲状腺腫(甲状腺に腫瘤(しこり)ができる病気)」の3つに分けることができます。

亢進症では、全身の代謝が活発になりすぎて、脈が速くなったり多汗になったり、体重が減ったりといった症状があらわれます。代表的な病気にはバセドウ病があります。

低下症では、全身の代謝が落ちて臓器の働きが弱くなり、無気力、疲労感、記憶力の低下、便秘、体重増などの症状があらわれます。代表的な病気には橋本病があります。

結節性甲状腺腫には良性と悪性があり、多くは良性ですが、悪性の場合は命の心配も。悪性のほとんどは「甲状腺がん」で、組織の型によりいくつかのタイプに分けられます。ただし甲状腺にできるがんの8〜9割は、このうちもっとも性質のおとなしいタイプとされています。なお、ごく一部の病気を除き、ホルモン分泌の異常はあらわれません。

甲状腺の病気の分類

甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症結節性甲状腺腫
甲状腺ホルモンが多い甲状腺ホルモンが少なくなる甲状腺に腫瘍ができる
バセドウ病など橋本病など良性と悪性がある

病気かなと思ったら?

甲状腺の病気は女性に多く、亢進症は20〜30代、低下症は40代以上に多くみられます。甲状腺がんは若年者〜60代以上の各年齢層に見られ、男女比は1:6で女性に多い病気です。

症状が出ても、月経前症候群(PMS)や更年期症状と思い込んで、なかなか受診に至らないのが問題です。前述のような体調不良が生じたら、一人で悩まずかかりつけ医を受診し、甲状腺ホルモン値を測ってもらいましょう。簡単な血液検査で調べることができます。専門的な治療が必要とわかった場合は、甲状腺の専門医を紹介してもらえます。

甲状腺がんは初期では症状がありませんが、次第に甲状腺が腫れて大きくなってきますので、のど元をさわって気になったらすぐに受診を。がん以外の、亢進症や低下症でも甲状腺の腫れは特徴の一つです。

ただし、腫れには個人差があり気づかない場合も。また、太ったせいなどと勘違いし放置されることも少なくありません。少しでもおかしいな、と思ったらすぐ受診することが大切です。

放射能と甲状腺

甲状腺がん発症のリスク要因の一つに、放射能を持ったヨウ素=「放射性ヨウ素(ヨード)」があります。放射性物質であることから、原発事故では悪いイメージで報道されていますが、医療の場では悪性リンパ腫に対する放射線照射など、治療で使われている物質です。ただし、治療であっても、体内に過剰に蓄積されれば、発がん等のリスクが高まるため、厳格な管理のもとで行われます。

原発事故等の災害による被曝と甲状腺がん発症との関係は、現在も追跡調査が続けられています。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が今年4月に出した報告書(「2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルとその影響」)によると、福島原発事故で生じた放射線被ばくによるがんの増加は予想されない、とされています。一方、最も高い被ばく線量を受けた小児の集団においては、甲状腺がんのリスク増加の可能性があり得るとの指摘もあり、今後も追跡調査を続けていく必要があると結論づけています。

渡邉真由美 わたなべ まゆみ

プロフィール

健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。

「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。

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