冷えは血流やリンパの流れといった“体のめぐり”をさまたげるだけでなく、体に本来そなわっている、自律神経を代表とする“バランスをとる力”も弱めてしまいます。生活習慣の見直し+日常の工夫で冷えを追い出し、冬を健やかに過ごしましょう。
一般に、男性よりも女性の方が冷えに弱いとされています。
理由は筋肉量が違うため。筋肉は体の組織の中でももっともエネルギーを必要とし、栄養分を酸素で燃やして熱をつくりだしているため、筋肉量の少ない女性の方が冷えやすいのです。 また、冷えには普段の生活環境や習慣も強く関係します。下記に思い当たることが一つでもあったら、今すぐ見直しを!
明らかに手足が冷たい、といったような自覚があれば対策もとりやすいのですが、中には、不快な症状が冷えのせいで起こっているのに、気づきにくい「かくれ冷え」のケースも。
頭痛や肩こり、腰痛、関節痛など、多くの人が悩まされている諸症状も、実は根本的な原因に「冷え」があることが少なくないのです。
次のチェック項目で一つでも思い当たったら、「かくれ冷え」の可能性が。積極的に体をあたためましょう。
手足の先など、冷たいと感じる部分だけを暖めても、その場しのぎに。多くの場合、温めるのをやめるとすぐ元に戻ってしまいます。
全体をできるだけ早く温めるには、お腹や太もも、腰などの「大きな筋肉」を温めるのが近道。これらの部位には、筋肉をつくっている細胞に栄養や酸素を届けるための血管がたくさん張り巡らされています。そのため、温めると短時間で血流がよくなり、全身の血行改善につながりやすいというわけです。
特に、お腹には腎臓や肝臓といった内臓が集まっていて血管も多いため、温めて血流を良くすれば、全身が効率よくぽかぽかしてきます。さらに、腸内には風邪ウイルスなどの異物を排除し、病気への抵抗力を高める腸管免疫があり、暖めることでこの機能が高まるので、風邪予防にもつながります。
温め方は「できるだけ一定の温度で、じっくり」が基本。もっともおすすめなのは入浴です。38℃程度のぬるめでゆっくり入りましょう。熱い風呂では自律神経(体温調節や呼吸などの生体の維持に関わる神経)のバランスが崩れ、緊張や興奮をつかさどる交感神経が優勢となり、血管も緊張して締まってしまうので逆効果になりかねません。
入浴ではのぼせやすいという人は、湯たんぽの活用もおすすめです。職場にいて湯たんぽは使えない、という場合は、真綿を布にくるんで冷えを感じるところに当てるだけでも辛さがやわらぎます。ドラッグストアなどで扱っている遠赤外線サポーターも、深部から温まる作用があるといわれているので、試す価値はありそうです。
冷えを防ぐには食事も大切です。
暖房のよく効いた部屋では冬でもアイスクリームや冷たい飲み物が欲しくなるものですが、それでは体の内側から冷やしてしまうことに。温かいものを意識して摂るようにしましょう。
食養生に詳しい医師の話をもとに、体を温める/冷やすと言われる食材をまとめました。
例黒ゴマ、黒ビール、黒砂糖、玄米、そば、海藻、赤ワイン、ニンジン、根菜類
例ニンジン、ゴボウ、芋類、しょうが
例ネギ、ニラ、カブ
例ケーキ、クッキーなどの菓子類
例生クリーム、牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ
スナック菓子
例シャーベット、ジュース、冷水、果物
例カフェイン入り飲料
また、体を温める食事には、食材だけではなく、調理法も大事です。例えば白菜、ホウレンソウ、小松菜などは、おもに冬に収穫されますが、どちらかといえば涼菜(体を冷やす野菜)とされています。しかし、鍋の具材などで温めれば、冷やす性質はなくなり、体を温める食事になるのです。
鍋物にするなら、近年流行りの「コラーゲン玉」もプラスして、あったか&ヘルシーなコラーゲン鍋にすると、お肌のぷるぷる感も増して、ヘルシー度がアップ。体を温める生活術で、冬の寒さを乗り切りましょう。
健康予防管理専門士。
健康・美容・医学ライター、日本メディカルライター協会会員。
「ミドル~シニア世代のQOL向上」をメインテーマに、書籍、雑誌、WEB等の企画構成、取材、執筆を数多く行っている。