自分の歩き方、気にしたことはありますか?
歩き方は、性格や患った病気、ケガなど、弱い部分をかばいながら歩くうちに形成された、人生の履歴書のようなものです。
でもその歩き方のクセがからだのゆがみや痛みを引き起こしていたとしたら…。
健康でこれからも長く歩きつづけられるよう、今一度、歩き方を見直してみましょう。
どの年代の方でも、まずは普段の歩き方をもっと大切にするべきです。
週に1回特別な運動をして残りの時間をのんべんだらりと過ごすより、日常生活をきびきびと過ごし日常生活の活動量を増やすほうが、結果的には運動量が多く知らないうちに生活習慣病を予防し、健康を維持することにつながります。
「運動しなくっちゃ」と構えず、今歩いている質を上げ、いつの間にか「運動」と呼べるレベルに到達できていたというのが理想です。
歩くという行為を上手に毎日に組み込むためには、まず自分のからだと向き合ってみる必要があります。
「歩くのがいい」といわれてむやみに1万歩を歩くことを目標にするのはオススメできません。
腰痛や膝痛、股関節痛などがある場合は、まずはストレッチなどのケアが必要です。そのあとは、体力に応じて、目標を設定しましょう。
歩くことに困難を感じている人。
錆びついたからだにストレッチで油をさし、軽い筋肉トレーニングを加えて少しずつ歩く量と質をあげていきましょう。
最初は少し大変かもしれませんが、それが大きな変化のはじまりです。
生活に支障はないけど、運動するとヘタってしまう、いわゆる運動不足の人。
気になる症状がない人は、歩数や歩く時間をふやす工夫をしましょう。
数週間もすれば、歩くことは疲れることではなく、運動だと思えるようになります。
からだの状態を把握してケアできる人。
今の調子でより積極的な歩きに挑戦していきましょう。お遍路や、山登り、歩くことを楽しむイベントへの参加など、健脚であってこその楽しみがあります。
まず自分の立ち姿勢をチェックする習慣をつけましょう。
何気なく立ったら軽く目線を落として下を見ます。胸、お腹、足の甲が見えるのがよい立ち姿勢です。姿勢を正したら顏を上げて、上半身はその状態をキープしつつ歩きます。
膝、足首、股関節に痛みを生じ、変形性関節症を引き起こす。自分の足につまずき転倒する危険性も高まります。
⇒10cm幅のラインをイメージしてラインの外側に踵が乗るよう足を運んでみましょう。
一見姿勢がよく見えます。自覚がない人が多く、腰痛や脊柱管狭窄症の原因に。
⇒おへその下を引っ込めてやや前屈みにし、肋骨と骨盤のあいだを縮めるように意識しましょう。
無理やり上体を起こすと、首、腰、膝など様々な痛みの原因に。
⇒片手をおへその下に当て、反対の手でおへそから胸をさすり上げるようにすると自然に体が起き上がり、歩きやすくなります。
骨盤や股関節のゆがみ、慢性的な腰痛やひざ痛を引き起こすので注意。
⇒1本の線の上に足の中心を乗せるのではなく、左右の足ではさむように足を運びましょう。腕をまっすぐに振る意識をすると、足運びがうまくいくようになります。
歩かないでいるとますます筋力が低下し歩けなくなります。
⇒おへその下に力を入れてお腹で歩く気持ちで、腕を振ってからだを前に進めます。歩幅は狭めて、足裏にからだが真っ直ぐ乗るように意識しましょう。
プロフィール
一般社団法人ケア・ウォーキング普及会代表理事、東海大学医学部客員教授。
病院での歩行講座、ひざ痛予防講座、自治体の主催する介護予防講座の講師など、運動弱者を支援する運動指導を中心に活動。
「ケア・ウォーキング®」「ひざちゃん体操」を提唱して、痛みの起こらない体の使い方、修正法、動作改善を考案。
全国で講演、セミナーは300回を超える。
『100歳まで歩く技術』『足腰の痛みバイバイ体操』ほか著書多数。