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コラーゲン講座
【源治郎の解説①】コラーゲンペプチドの腸管吸収と生理機能の発揮の要点

コラーゲンペプチドの吸収

コラーゲンペプチド(以下、CPTと略す)の生理機能に関して、次のような俗説がある。「経口摂取したCPTの生理機能は、腸管で全てアミノ酸に分解されて吸収され(①)、そのアミノ酸が体内でコラーゲン生成時の原料となる(②)。」これは、二重の点で誤りである。何故、誤りなのか?

第一の誤り

上記①に関しては、動物実験結果から、経口摂取したCPTの70%以上はペプチド(Hyp含有ペプチド)として腸管吸収され(表1参照)、その後血中に移行するからである。

第二の誤り

上記②に関しては、コラーゲンやゼラチンに特徴的なヒドロキシプロリン(Hyp)とヒドロキシリジン(Hly)はCPTの構成アミノ酸の各々7~9%と0.6%を占める(表2を参照)が、これらアミノ酸は「翻訳後修飾」で生成することから、生体内でコラーゲン合成に使用されることはないからである。
換言すれば、コラーゲンは細胞内で合成されるが、この時、HypおよびHylには遺伝暗号がなく、各々ProとLysとして遺伝暗号に基づいて合成され、前-コラーゲン分子となったのちに酵素によってHypとHylになり(「翻訳後修飾」)、コラーゲン分子として細胞外に分泌される。
よって、生体内でHypやHylがコラーゲンの『原料』にはなりえないのである。

コラーゲンペプチドの生理機能発揮

では、CPTの生理機能は、いかにして発揮されるのであろうか?
結論を先に記せば、「CPTの経口摂取の後、これ由来の特異的オリゴペプチド(2~10個程度という比較的少数のアミノ酸からなるペプチド。分子量が小さいため、腸壁から直接吸収されやすいという性質をもつ。)が腸管上皮あるいは血中移行した後に標的組織、細胞でシグナル分子として機能を発揮する。」
この観点から、次回から明らかになってきたCPTの生理機能を順次紹介する。

ここで一点追加すると、食品素材としてのCPTは栄養学的には従来評価されてこなかった。その理由は、必須アミノ酸であるトリプトファン(Try)がCPTの構成アミノ酸に欠けている(表2太赤字部参照)からである。この点からも栄養源としてのCPTではなく、独自の生理機能を有するCPT由来のオリゴペプチドがシグナル分子として作用するメカニズムの解明が、今、注目されている現状を紹介する。

表1:豚皮由来CPTをラット胃内投与1時間後の腸管吸収(門脈灌流液中)遊離HypおよびHyp含有ペプチド量

腸管吸収量(μmol)腸管吸収比率(%)
遊離Hyp6.6±1.928
Hyp含有ペプチド16.6±2.6 72
合計23.1±1.2100

注)略号で*印は両群間に統計的有意差あり(P<0.05)
出展:Y Osawa, et al, Biomed Res, 39:1–11, (2018),Fig.1より一部改変

表2:CPTのアミノ酸組成(1000残基あたり)

アミノ酸略号豚皮由来CPT魚鱗由来CPT
グリシンGly330342
アラニンAla112120
バリンVal2619
ロイシンLeu2421
イソロイシンIle109
セリンSer3535
スレオニンThr1830
アスパラギン酸Asp4543
グルタミン酸Glu7257
シスチンCys00
メチオニンMet410
リジンLys2727
ヒドロキシリジンHyl66
アルギニンArg4954
ヒスチジンHis44
フェニルアラニンPhe1314
チロシンTyr32
トリプトファンTrp*00
プロリンPro131133
ヒドロキシプロリンHyp9174

注)略号で*印は必須アミノ酸
出展:新田ゼラチンホームページより一部改変

(注)翻訳と修飾
DNAの遺伝情報からタンパク質が生成されることを翻訳と呼び、翻訳後に、水酸化や糖鎖の付加といった化学反応をうけることを修飾と呼びます。この化学反応により、タンパク質は機能を持ち、様々な環境の変化に対応した生体内におけるタンパク質の活性調節が実現します。

文責:「食卓にコラーゲンを♪」推進委員会 運営事務局:小田義高
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